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タイトルに寄せて

文学

中原中也は、息子・文也の死に際して、その悲しみを詩にした。

 

 愛するものが死んだ時には、 

 自殺しなけあなりません。

 

 愛するものが死んだ時には、

 それより他に、方法がない。

        ―春日狂想

 

その翌年、中也は鎌倉の地で病死する。

 

愛するものが死んだらどうするか?そんなことわからない。

愛するものもいなければ、死にたいと思うこともないのに。

じゃあもし、愛するものができたら?

ほんとに惚れて、死ぬなんて、ナンセンスさ。

坂口安吾は言う。

惚れたら、生きることです。

と。

 でも、と思う。死にたいと思うほど、誰かを、何かを愛せるのは素晴らしいことじゃないか。

 

好きなもの。実家の猫、よく冷えたコカ・コーラ、五月のある晴れた日の昼下がり、女の子と抱き合って眠る時間。

もしもこれらが世界から消えたとしたら、涙ぐらいは流すのかもしれない。しくしく、しくしく。泣いたからといって、どうしようもないことにまた悲しくなって。

しくしく、しくしく。

 

死ぬなんて、ナンセンスだ。

でも、

狂わずにはいられないだろう。

私は、狂おしいほど愛したのだ!

 

 ハイ、ではみなさん、ハイ、ご一緒に―

 テムポ正しく、握手をしませう。